ゆずっこさん「もしも生きている理由が欲しくなったら」 | 第1回ぐるっとママ懸賞作文

「私の出産」~母から子へ伝えたい言葉~

第1回ぐるっとママ懸賞作文

ゆずっこさん「もしも生きている理由が欲しくなったら」

『大事な絆を守ってくれてありがとう』
 

愛しの娘へ

もしあなたがいてくれなければ、私はとても寂しく今を生きていたのではと思います。

あなたが私のお腹の中に来てくれたとき、私はパパと大阪に住んでいました。
お仕事をしたり、パパと同じようなことで何度も喧嘩をしたり、つわりで寝込んだこともあったけど、大体はそんなのいつでもできるでしょってことだけを毎日して過ごしていました。

あなたを産むために実家のある高知に里帰りをして、その時はじめて、あなたにとっての曽祖母・私にとって大好きなおばあちゃんが余命宣告を受けていたことを知りました。

あなたがお腹にいなかったら、私は亡くなる前のおばあちゃんには会えなかったことでしょう。
生まれたばかりのあなたをおばあちゃんに見せたとき、おばあちゃんが「まぁそっくり!」と言って微笑んでくれたことが今でも心に残っています。おばあちゃんが私のことを本当に可愛がってくれてたのだと改めて感じれたのは、まちがいなくあなたが生まれてきてくれて、おばあちゃんに会わせてくれたおかげです。ありがとうね。

あなたが生まれてからも、パパとはたくさん喧嘩をしました。
もちろんあなたが知っているようにいつもはとっても仲良しのパパとママですが、パパとママが今のパパとママの形になれるまでに、たくさんの時間がかかったんだよ。

小さなことが許せなかったり、譲れなかったり、恋人時代も何度も「もう別れる!」って言ってたけど、結婚してあなたを産んでからもなかなか心が大人になれなくて。
今思えばいろんな覚悟がたくさん足りてないまま、あなたを産んでしまったのだと思います。ごめんね。幼かったあなたの記憶にはないだろうけど、たくさん泣いてる姿を見せてしまったよね。そのたびに不安そうにあなたが私を見上げていて、その姿にまた胸が苦しくなったのを昨日のことのように思い出せます。
たくさん心配してくれてありがとう。勝手だけど、その分はあなたが私たちの元から巣立つまでに少しずつ返せていけたらと思います。

今、私はパパと一緒にいられてとっても幸せです。

どんな喧嘩をした時も、ふと私とあなたとの未来を想像して、その思い出の中にパパがいなくちゃ寂しいなと、三人で笑っていたいなと、そう思えたから今があります。
数年前まで「人生なんて最悪だ」と思っていたこともありましたが、去年も今年も、それからきっとこれからも、私は「今年が人生で一番幸せだった」と言えるんだと思います。
それは、あなたが何度も何度もパパに向き合う勇気をくれたからです。

あなたは生まれてまだたった5年しか経っていないけれど、私にとってたくさんの大事な絆をひとつひとつ拾い上げてくれました。
私に与えてくれたたくさんの力、あなたは覚えていないでしょう。たった5歳までで、私にとってのあなたは本当に意味のある存在になりました。
だからきっとこの文章をあなたが読めるようになる頃にはもっともっと、あなたの知らないところで、また誰かの力になれてるんだよ。

これから長く生きていると、誰かに傷つけられたり、逆に傷つけてしまったりして、自分の存在価値なんて考えてしまったりして、なんでもいいから縋りたくなるときがあるかもしれません。
そんな時は、この文章を読んで欲しいです。そして少しでもこの文章があなたの力になれたら嬉しいです。

ママにとってのあなたは本当にかけがえのない存在で、しかもママをたくさん助けてくれた存在でもあって、愛おしくて、大事なんだよ。

あなたがいてくれたことに、ママがたくさん感謝していること、パパとママはあなたが生きていてくれているだけでいいんだってこと決して忘れずに。忘れてしまっても必ず思い出してください。

最後に、長く強く幸せにあなたが生きられますように。

あなたのことが大好きなママより

 

高知県 ゆずっこさん
題名:もしも生きている理由が欲しくなったら
子どもへ伝えたい言葉:「大事な絆を守ってくれてありがとう」